井上 長三郎
Chozaburo Inoue
神戸に生まれ、大連で少年期を過ごした後に上京し太平洋画会研究所で学ぶ。「池袋モンパルナス」と呼ばれるアトリエ村文化が栄えた地域に暮らし、戦前はフォービスムやシュルレアリスムに影響を受けた絵を独立美術協会展、美術文化協会展を中心に発表。彼の戦中の作品の中には厭世的だと言われ、出品を撤回されたものもある。
戦争画一色の時代になっても画家仲間である靉光や松本竣介、糸園和三郎らと共に1943年に新人画会を結成し、展覧会を開いた。これは戦時下であっても自主的な表現活動をするための場であった。
戦後は自由美術家協会に参加し、ヴェトナム戦争などの事件を描いた絵画や、礼服姿の議員たちを風刺したユニークな絵画を残した。千葉県で没。享年89。