作品コード : 9450

鴨居玲

「旅」

油彩
F20号
72.7 x 60.6 cm
1984年作
「鴨居玲画集」(日動出版部刊/2000年) P.275、No.463

展覧会歴:
1984年 「鴨居羊子・鴨居玲二人展」 那美画廊

 鴨居は転居が好きだ。金沢で生まれ、新聞記者の父の転勤に伴い、金沢、ソウル、大阪豊中、金沢と数年おきに転居を繰り返した過去も含めると、その生涯は常に旅をしているかのようだ。30代~40代には南米、パリ、ローマ、スペインなどに拠点を移しながら制作を続けた。ブラジルからヨーロッパへ出たときのことを振り返る際には、「周りがあんまり安定してくると、自分の感受性が鈍るというのか…」とも語り、一つの土地に長くとどまらない様は、制作のみならず日常生活でさえ惰性や安定に向かうことを拒否し続けていたかのようだ。旅をする男は鴨居玲の分身であり、描くために生きる姿そのものと見ることもできる。

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鴨居 玲 (かもい れい)
生と死、老い、孤独、愛といった人間の普遍的テーマを画題として描き続けた。最後は自殺未遂を繰り返した末に心臓病と排ガスにより57歳で没。

1946年 金沢市立金沢美術工芸専門学校(現在の金沢美術工芸大学)に入学。宮本三郎に師事する。
1950年 二紀会同人に推挙される。
1952年 芦屋・田中千代服装学園の講師となる。
1959年 渡仏(1958年という説もある)。
1961年 帰国。二紀会を退会する。
1964年 創作に行き詰まり、南米、パリ、ローマを渡り歩く。
1965年 帰国。
1967年 二紀会同人に推挙される。
1968年 初の個展。この時、下着デザイナーの姉・鴨居羊子を通じて知り合った小説家・司馬遼太郎と親交をもつ。
1969年 昭和会賞と安井賞を受賞。
1971年 スペイン・ラ・マンチャのバルデペーニャス村にアトリエを構え、制作に没頭(~74年)。
1984年 金沢美術工芸大学の非常勤講師として講義。
1985年 神戸市の自宅で排ガス自殺により没。享年57。

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