作品コード : 8841

鴨居玲

「蛾」


油彩
F50号
90.9x116.7cm
1968年作

東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定書付。

 「蛾」は鴨居がサンパウロにいた若林和男を頼り、ブラジルに渡ってからしばしば取り上げてきたモチーフだ。南米を思わせる赤黒い肌の老人が二人窓辺で佇み、窓には巨大な蛾が一匹。双方の顔は向き合いもせず、一方の男は空虚に話しかけているように見える。 鴨居は「蛾を人間がしゃべることの虚しさの象徴として描いている」と過去に語っており、あるいはそれが、人生の虚しさのように映るという指摘もされていた。余白を大きく見せる構図と人物像の描き方から、1969年に安井賞を受賞した『静止した刻』に繋がる作品と言える。

鴨居 玲 (かもい れい)
生と死、老い、孤独、愛といった人間の普遍的テーマを画題として描き続けた。最後は自殺未遂を繰り返した末に心臓病と排ガスにより57歳で没。

1946年 金沢市立金沢美術工芸専門学校(現在の金沢美術工芸大学)に入学。宮本三郎に師事する。
1950年 二紀会同人に推挙される。
1952年 芦屋・田中千代服装学園の講師となる。
1959年 渡仏(1958年という説もある)。
1961年 帰国。二紀会を退会する。
1964年 創作に行き詰まり、南米、パリ、ローマを渡り歩く。
1965年 帰国。
1967年 二紀会同人に推挙される。
1968年 初の個展。この時、下着デザイナーの姉・鴨居羊子を通じて知り合った小説家・司馬遼太郎と親交をもつ。
1969年 昭和会賞と安井賞を受賞。
1971年 スペイン・ラ・マンチャのバルデペーニャス村にアトリエを構え、制作に没頭(~74年)。
1984年 金沢美術工芸大学の非常勤講師として講義。
1985年 神戸市の自宅で排ガス自殺により没。享年57。

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